節税と課税の繰延についてまとめました。
節税商品のほとんどが課税の繰延
節税商品の代表格である保険・海外不動産・高級外車・航空機リースなどはそのほとんどが課税の繰延と言えます。課税の繰延として使える手法で、個人的に推薦する経営セーフティ共済を例に、節税商品のほとんどが課税の繰延であるという意味を考えてみます。
なお、経営セーフティ共済は、5,000円~20万円/月まで掛金を損金にでき、40か月以上掛金を納めていれば掛金がいつでも全額戻るというものです。(他にもメリットあり)
✓ケース① まずは経営セーフティ共済に加入しない場合
単位:万円 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
売上 | 1,000 | 1,000 | 1,000 | 1,000 |
経費 | 600 | 600 | 600 | 600 |
利益 | 400 | 400 | 400 | 400 |
税金 | 120 | 120 | 120 | 120 |
4年間で合計480万円の税金が発生しています。
✓ケース② 次に経営セーフティ共済に年間200万円掛金拠出し、4年目に解約して800万円の解約金を受け取った場合
単位:万円 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
売上 | 1,000 | 1,000 | 1,000 | 1,000 |
経費 | 800 | 800 | 800 | 800 |
雑収入 | 800 | |||
利益 | 200 | 200 | 200 | 1,000 |
税金 | 60 | 60 | 60 | 300 |
4年間で合計480万円の税金が発生しています。
1~3年目は経費が200万円増えることで利益が減って税金は減りますが、解約する4年目には解約返戻金として800万円の雑収入がでることで利益が増えて税金が増えます。結果としてケース①とケース②で4年間の税金の合計額は480万円と同額です。
節税=税金を減らすと認識している場合、これは節税にはなっていません。1~3年目に支払うべき税金を4年目に支払っているだけなので、課税の繰延ということになります。保険も海外不動産も高級外車も基本的には上記と同じ仕組みです。その中でも経営セーフティ共済を推薦する理由は、掛金の全額が損金かつ解約返戻率が100%だからです。
課税の繰延も効果はある
節税商品を使っても税金の合計は変わらないから意味がないかというと、一概にそうとは言えません。例えば、4年目に役員の退職金等で大きな経費が発生する場合を考えてみます。
✓ケース③ 上記ケース①に4年目の退職金1,000万円を追加した場合
単位:万円 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
売上 | 1,000 | 1,000 | 1,000 | 1,000 |
経費 | 600 | 600 | 600 | 1,600 |
利益 | 400 | 400 | 400 | ▲600 |
税金 | 120 | 120 | 120 | 0 |
4年間で合計360万円の税金が発生しています。4年目は赤字なので税金を0としています。
✓ケース④ 次に、ケース③で経営セーフティ共済に加入した場合
単位:万円 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
売上 | 1,000 | 1,000 | 1,000 | 1,000 |
経費 | 800 | 800 | 800 | 1,800 |
雑収入 | 800 | |||
利益 | 200 | 200 | 200 | 0 |
税金 | 60 | 60 | 60 | 0 |
4年間で合計180万円の税金が発生しています。
4年間で見ると、ケース③の税金360万円に対して、ケース④は税金180万円となり、合計金額が減少しています。このケースの様に、節税商品を解約する際に大きな費用が発生する場合には効果が発揮されます。
もう少し詳しい話をすると、ケース③の▲600の赤字は5年目以降に繰越すことができる(5年目以降の利益と相殺することができる)ので、長い目で見れば課税の繰延に過ぎませんが、5年目以降も赤字が続いて▲600の赤字を相殺できないこと等も考えられますので、このようなケースでは効果はあると言えるのではないでしょうか。
※計算を簡便的にするために利益の30%を税金としています